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異世界の車内から
通り過ぎる車体を眺めつつ、来る異世界を間違えたと後悔していると、列車が目の前で停車した。
駅でも何でもないよな。
「おうい」
先頭の機関車から顔を出した禿げ頭のおっさんが俺に向かって手を振っている。
どう見ても日本人なんだけど……。
「町、行きたいんやろ? 乗ってええで」
非常に流暢な日本語。
間違いない、こいつ日本人だ。関西の方っぽいですね。
「えと……」
何でこんなところに日本人が?
お金持ってないけど?
ていうか、ここはどこなの?
「乗らへんの? 金やったらええで。こっち来たて見たいやしな。まあ、助け合いって事で」
「の、乗ります」
「ほんなら、こっから乗り」
機関車の乗降口が明けられた。
と言っても、ホームの高さにあわされてるからちょっと高いな……。
「ハシゴとか……」
「あるかいなそんなもん。よじ登ったらええわ」
やっぱりそうですか……。
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