異世界の車内から

5/6
前へ
/84ページ
次へ
「王都ディン。それが自分の行くとこや。異世界から来た奴は、一回王様に会うことになってる。王様が何でもめちゃめちゃ詳しく教えてくれるわ。俺もそうやったし……多分」 「多分?」 「こないだ、王様変わってん。まあ、息子さんやし、やり方は変わってないと思うけどなぁ。ちょっと、前より厳しいんかな?」  厳しい人は嫌い。  ぬるま湯万歳。 「こないだってのは?」 「二年ぐらい前やな。 「王様も日本人?」 「いや、さすがにそれは無い。こっちの人や。めっちゃイケメンやで」  それはどうでも良いけど。 「心配せんでもええよ。この世界で日本人ってのは割と尊敬されるねん。前の王様も日本人のこと好きやったしな。せやから、国の中でも日本語は通じる。商売するときに欠かせへんからね。日本語講師って結構需要ある職業なんやで」  あ、そのままだと、やっぱり言葉通じないんだ。 「とりあえず王様のところ行ったらええわ。駅付いたらちょっと休憩あるし、案内してくれる奴、紹介したるわ。大丈夫やで、俺のツレや」  服も顔も手足も真っ黒なんですが……。 「あの、着替えとか……」 「んー、あ、そうか。自分真っ黒やな。何しとんの?」 「いや、機関車の……」 「鈍臭いやっちゃな。まあええわ。それもツレに頼んだる。金持っとる? こっちの奴や無くて、日本円」 「三千円ぐらい」     
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加