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「王都ディン。それが自分の行くとこや。異世界から来た奴は、一回王様に会うことになってる。王様が何でもめちゃめちゃ詳しく教えてくれるわ。俺もそうやったし……多分」
「多分?」
「こないだ、王様変わってん。まあ、息子さんやし、やり方は変わってないと思うけどなぁ。ちょっと、前より厳しいんかな?」
厳しい人は嫌い。
ぬるま湯万歳。
「こないだってのは?」
「二年ぐらい前やな。
「王様も日本人?」
「いや、さすがにそれは無い。こっちの人や。めっちゃイケメンやで」
それはどうでも良いけど。
「心配せんでもええよ。この世界で日本人ってのは割と尊敬されるねん。前の王様も日本人のこと好きやったしな。せやから、国の中でも日本語は通じる。商売するときに欠かせへんからね。日本語講師って結構需要ある職業なんやで」
あ、そのままだと、やっぱり言葉通じないんだ。
「とりあえず王様のところ行ったらええわ。駅付いたらちょっと休憩あるし、案内してくれる奴、紹介したるわ。大丈夫やで、俺のツレや」
服も顔も手足も真っ黒なんですが……。
「あの、着替えとか……」
「んー、あ、そうか。自分真っ黒やな。何しとんの?」
「いや、機関車の……」
「鈍臭いやっちゃな。まあええわ。それもツレに頼んだる。金持っとる? こっちの奴や無くて、日本円」
「三千円ぐらい」
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