いつの間に。

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1人の蹴りが俺の背中にヒットしてガラクタの有る囲いの中に吹っ飛ばされた。 うげ、 汚ねぇ。 俺はそのガラクタの近くにとりあえず大事な物を隠しといた、 スマホとか壊されたらシャレにならないからな、 弁償させてもデータは帰ってこないからな。 「くたばれチビっ!! 」 一斉にかかって来るが……まあ別に抵抗する程強くはないしな、 所詮見た目だけの連中だ。 「ちょっと待てよ」 「いてっ! 」 ヤンキーの1人の腕が何者かに曲がってはいけない方向に曲がり始めている。 「いててててててて!!! 放せコラァ!」 「放せじゃないだろ、 何してんだお前ら」 ……坂上だった。 いや、 止めなくても変わらなかったんだが……慰謝料ふんだくれたかも知れないのに邪魔するなよ。 まあ嘘だが。 「代わりに俺が相手してやるよお前ら、 彼はこういうの慣れてないからな」 「上等だ! 」 ────。 一瞬と言っても過言ではないくらいの早さで地面にヤンキー6人が転がった。 こいつ強……。 「大丈夫か? 幸」 「ん、 まあな」 見た目からしてヤンキーで無くとも不良には十分見えるけど、 もしかしてコイツは良くやってたのか? だとしたら少しショックだな……。 坂上は俺の前にしゃがむと抱きついて来た。 ……は? 「いやぁ俺ね、 昔から幸が狙われてると代わりに喧嘩してよく怒られたんだよ、 続けてたら強くなっちゃった」 いや、 笑顔で言われてもな……それより俺の代わりに今まで相手してたのか……ちょっと申し訳無いな。 にしても強くなり過ぎだろ。 「今回気付くの遅くて怪我させちゃった……ごめんね」 「いや、 お前が謝る事なんて何も無いと思うんだが……」 どんだけショック受けてんだか、 今にも泣きそうな表情をしてる……泣くなよ迷惑だから。 しかも高校生の最上級生だろ。 「俺は、 一生幸を守るから……!! 」 ……んん? 『一生』? どーやって一生俺を守るんだ? おい。 坂上は俺の両手を強く握り、 再び目力を込めて周りに聞こえないくらいの声で叫んだ。 いや、 後ろのにバカ共倒れてるけどもな。
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