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いつもこの男は私の1位を阻んでくる。
勉強でも、運動でも、何でも。
「何度も言うけど、お前が俺に勝てる日は一生来ないって」
口角を上げて鼻で笑い続ける泰星。
私が敵視してしまうのは、この男のこの憎ったらしい程の嫌味な態度のせいだ。
「次こそは『紗綾様、負けました』って言わせてみせる!」
「はいはい、頑張って~。無理だろうけど」
泰星は出来るわけがないというように私すら見ずに言って手をヒラヒラさせながら去っていった。
その余裕そうな背中に更に、イライライライラ!
「紗綾、泰星君にはもう勝てないって」
泰星が居なくなったところで隣に居た友人が無情な言葉をあっさり吐いた。
「はぁ!?友達なら次は勝てるよって言ってよ!」
私が苛々して返すと友人は呆れた顔。
「もう何回も言ってきたよ。でもリアルな話、運動では無理だって」
「何で!?」
「だって男子と女子じゃ、筋力が違いすぎるもん。私達もう中1だよ?泰星君、成長期に入ったらグングン育つかもよ?」
「……」
今のは的確な言葉すぎた。
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