君には勝てない

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しかも泰星は私に向かってくる。 何で不機嫌な顔してこっちに向かってくるの? 泰星の不機嫌顔に不穏しか感じない私は足を後ろに退く。 「何で逃げんの?」 「何で近付いてくるの!?」 そう返すと泰星の眉間に深く刻まれる皺。 「まだ分かんない?」 「さっぱり分かんない!」 大きめのボリュームで返すと、泰星の顔が突然真剣な顔になる。 瞳は真っ直ぐ私を捉えていて、何故か逸らせない。 「好きな女に負けたくなかったから」 「え?」 「好きな女に負けるなんて、男として情けないじゃん」 私はその言葉をすぐに脳が理解出来ず、目を何度もパチクリさせた。 好きな女に負けたくないって……、 泰星と争っていたのは私で……、 ってことは、泰星は私を……
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