27人が本棚に入れています
本棚に追加
金崎は、ゆっくりと体を起こすと、ベッドから降り、浅川の前に立った。
その視線は、浅川の顔と胸元を交互に見ているように見える。
だから、気付かなかった。
浅川の両ももに装着されている黒いベルトに。
そして、そこで携帯されているソレに。
「だ、誰だ、お前は」
声は震えているが、いきなり目の前に現れた美しい女性への興味の方が強いのだろう。
金崎は、ゆっくりと体を起こすと、そのぶよぶよした右手で、浅川の胸を掴もうとした。
「もしかして、三浪の・・・・・・」
言いかけた金崎を、浅川は軽く両手で後ろに押すと、そのまま両ももに装備されていたサバイバルナイフを抜き取った。
「精神と肉体を深く傷つける行為は、殺人の何万倍も重い罪と知りなさい」
浅川は、それだけ言うと、サバイバルナイフを金崎の両ももに突き刺した。
「ぎゃああぁああぁぁぁっ!!」
その痛みで立っていられなくなった金崎が、その場でしりもちをつきながら、両ももに突き立てられたナイフに手を伸ばす。
その手は、ナイフの柄の手前で震えている。
ももに深く食い込んだナイフを抜くという行為は、それだけで恐怖なはずだった。
左もものナイフをゆっくり握ったが、それを抜くのにも躊躇している。
最初のコメントを投稿しよう!