執行

3/8
前へ
/118ページ
次へ
「痛い・・・・・・痛いいいぃ・・・・・・痛いぃぃ・・・・・・」  両ももにサバイバルナイフを突き立てられ、尻もちを付いている金橋を、浅川が見下ろす。  浅川は、そのまま右足を上げ、金崎が抜こうとしている左もものナイフに足を乗せ、ゆっくりとかき回した。 「うわあああぁあぁぁっ!!」  うずくまり、痛みに耐えていた金崎の体がのけぞり、叫び声が室内に響く。 「待って!」  思わず私は声を上げてしまった。  右足の動きを止めた浅川が、静かに振り向いて、私を睨んだ。 「まさか、今更、可哀想とか、やめてとか言わないわよね」  浅川は少し上目づかいに、ゆっくりと振り向きながら私を見た。  私は小さく首を振った。 「わ、私にもやらせて・・・・・・いえ、後は、私に・・・・・・」  震えた声でやっとそう言うと、浅川は無言で二歩下がり、右手を開いてゆっくりと斜めに振り下ろした。「どうぞ」という合図だ。 「お前、こんな事して、ただで済む・・・・・・ぎゃあああぁぁ!!」  この男は、この期に及んで、まだ私を脅そうとしている。  私は金崎の前にしゃがみ込むと、そっと右足に突き立てられている方のナイフを握りしめ、ゆっくりと前後に動かしてやった。  金崎の体がのけぞり、叫び声が室内に響いた。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加