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「な・・・・・・なんなんだ、お、お前らは・・・・・・」
浅川は、それに答えることなく、壁の向こうに消えた。
代わりに私が答えてあげた。
「あなたこそ、なんなのよ」
目の前で震えている金崎には、もう恐怖の感情は生まれない。
「どうして私に、あ・・・・・・あんな、こ、と・・・・・・」
変わって憎しみだけが、私の全身を包み込む。
「お、お前だ、だって、抵抗し、しなかった、じゃないか」
この言葉で、私の怒りは頂点に達した。
右もものナイフに手を伸ばし、それを引き抜いて、一思いに心臓に!
「焦っちゃ、だめよ」
浅川が戻ってきて、私の横でしゃがみ込んでそう言った。
その一言で、少しだけ我に返った私は、その手を止めた。
浅川は、他に用意してあった鋭利なナイフを、私に手渡す。
こいつは、一思いに殺ってはダメだ。
私は、一度だけ大きく息を吸った。
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