職場辞めたった

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 そんなこんなで俺はパソコンを買いに来たのだが…… ニート生活を送ることがこんなにも大変だったとは…… 「いらっしゃいませ!何をお買い求めですか?」 男性店員が話し掛けてきた?もしやこれも試練なのか?ニートの人はコミュニケーション能力が低いと聞いたことがある……ここは俺もニートらしくいかねば! 「あの……いえ、ダイジョウブデアリマス……」 「あ、そうですか……」 変な汗が出て来た。こんな感じでいいだろう。むしろ上出来ではないのか?    お、パソコンはここだな…… え、どのパソコンを選べば…… 取り敢えず桜花に電話してみるか。 「プルルルル……どうした?今、忙しいのだが?」 桜花は無駄に声が可愛らしい。 「いや、桜花……姉さん、パソコンはどれを選べばいいのか教えてくれ……下さい」  そして桜花の使っている物と同じパソコンを購入する。 次は何を揃えたらいいのか全くわからないな。  ん?パソコンがあるなら帰ってからでもネットで買い物できるではないか? 俺にもニートの才能があるのかもしれない。とにもかくにも帰ってネットに繋げないとな。  早速ネットに繋げてはみたものの今までパソコンに触れたこともなく、文字を打ち込むのに時間が掛かる。 窓からは夕日が差し込み、時計の針は午後の五時を指していた。 「ガチャッ」  玄関のドアが開く音がし、ドタバタと階段を駆け上ってくる音が俺の部屋の前でピタリと止む。 「ガタン!!オッス、ニート生活はどう?」 俺の部屋のドアを乱暴に開けて入ってきたのは幼馴染の麻衣だ。 麻衣の家はウチの隣に位置する為、仕事終わりに寄ったのだろう。 「勝手に入ってくんなよな。お前のせいでニート生活が謳歌できないだろう!」 「なんで出来ないのさ!」 「ニートって孤独なイメージだろ?毎度、お前に絡まれていたらニートっぽくないだろ!」 「うわっ!ニートの固定概念がすごいずれてる気がするわ……そんなこと言ってたらあたしと言う美少女が逃げちゃうぞ!」 何を言っているんだこいつは…… 「逃げてくれた方がこちらとしてはニート生活が充実するんだが……」 「あっそ、じゃ、もう知らない」
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