29(承前)

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「まったく不公平だ。同じように遺伝子を残す目的なのに、なんでこんなに男女では差がつくんだ」  サイコがタツオをにらんでそういった。 「卵子を採取するためには、女子はピンポイントで日時も確定させなければいけないし、局所麻酔までつかうんだぞ。朝から一日絶食があたりまえだ。しかも、人体に針を刺して卵子を直接採取するんだ」  マルミとサイコは自分の身体を抱いて震えている。そのときのことを思いだしたのだろう。クニがぼんやり顔で質問した。 「えっ、針ってどこから刺すんだよ」  ひっと息をのんでマルミが硬直したが、サイコは堂々としたものだった。 「わたしの口からききたいのか、その言葉」
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