61人が本棚に入れています
本棚に追加
「まったく不公平だ。同じように遺伝子を残す目的なのに、なんでこんなに男女では差がつくんだ」
サイコがタツオをにらんでそういった。
「卵子を採取するためには、女子はピンポイントで日時も確定させなければいけないし、局所麻酔までつかうんだぞ。朝から一日絶食があたりまえだ。しかも、人体に針を刺して卵子を直接採取するんだ」
マルミとサイコは自分の身体を抱いて震えている。そのときのことを思いだしたのだろう。クニがぼんやり顔で質問した。
「えっ、針ってどこから刺すんだよ」
ひっと息をのんでマルミが硬直したが、サイコは堂々としたものだった。
「わたしの口からききたいのか、その言葉」
最初のコメントを投稿しよう!