29(承前)

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 全員の目がマルミに集まった。サイコは他人事のようにしらん顔をしている。マルミがとりなすよいうにいった。 「東園寺のお父さまがいうには、その人は年も同じで、成績も優秀だし、家柄も悪くない、将来も有望だということで……」  だんだんと歯切れが悪くなってきた。タツオは条件をひとつひとつ数えながら、もしかしたら自分なのではないかと、ちらりと期待してしまった。だが、東園寺家からはタツオや母にはなんの連絡もはいっていない。 「早く教えてくれよ」  テルとクニがマルミをせっついた。 「……ほんとにいいの、サイコちゃん」  サイコははめ殺しの窓のむこうの不二山を見ている。 「別にかまわない」
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