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全員の目がマルミに集まった。サイコは他人事のようにしらん顔をしている。マルミがとりなすよいうにいった。
「東園寺のお父さまがいうには、その人は年も同じで、成績も優秀だし、家柄も悪くない、将来も有望だということで……」
だんだんと歯切れが悪くなってきた。タツオは条件をひとつひとつ数えながら、もしかしたら自分なのではないかと、ちらりと期待してしまった。だが、東園寺家からはタツオや母にはなんの連絡もはいっていない。
「早く教えてくれよ」
テルとクニがマルミをせっついた。
「……ほんとにいいの、サイコちゃん」
サイコははめ殺しの窓のむこうの不二山を見ている。
「別にかまわない」
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