医局対抗バレーボール大会

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 そんな本院の殺伐とした雰囲気を和らげてくれるのが、医局対抗バレーボール(9人制)大会なのである。 昼休みに病院の中庭で行われる。臨床系(内科、外科、小児科、産婦人科など)も基礎系(解剖学、生理学、細菌学、薬理学など)も参加する。このバレーボール大会は親睦が第一の目的なので、日頃角を突き合わせている診療科同士も、このときばかりは和やかにバレーボールを楽しむ。  ところが、親睦が第一なのに、ガチでバレーボールをやろうとする医局がある。 普通は適当なジャージを着て試合するのだが、ガチな医局は自前のユニフォームを作っている。臨床系の各科は教授の苗字を付けて呼ぶことが多い。佐々木教授の外科なら「佐々木外科」、宮本教授の内科は「宮本内科」などと呼ぶ。ガチな医局のユニフォームの胸にはSasaki Surgery(佐々木外科) とかIshida Orthopedics(石田整形外科)などとプリントされている。背中には「一球入魂」と書く熱の入れようだ。  なぜガチンコの医局があるのかというと、教授がバレーボール部出身だからなのだ。 教授命令とあれば、たかがバレーボールごときでもガチにならざるを得ない。試合の日に合わせて、本院・分院・派遣病院から元バレーボール部の医局員をかき集める。だが、エースアタッカーが遠方の病院に派遣されている場合は問題だ。
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