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「もしもし、山下君、私だ」
「あっ、石田教授」
「来月第二水曜日、昼にバレーボールの試合があるから出て来てくれ」
「わ……かりました」
「去年はありがとう。今年は宮本内科が相手なんだ。内科のヤツらには負けられんっ! 詳しくは医局長から聞いてくれ」
その夜、医局長に電話で相談する。
「先生、私が行かなきゃダメなんでしょうか?」
「どうして?」
「何しろ遠いもので……新潟ですから」
「教授命令だぞ。一つ頼むよ」
「まぁ、有休取ればいい話ですけど」
「助かるなぁ。東京で一杯飲もうよ。よろしくね」
そう。山下先生は新潟の分院に派遣中だった。
そして出発の朝。空を眺めると、今にも泣き出しそうな空模様。「泣きたいのはこっちだぜ」と思いながら医局長に電話する。
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