冬のお風呂

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 雪が降った日。  帰ってからのお楽しみと言ったら温かいお風呂だ。  午後六時を少し回った頃、部活から帰宅するといつも母がお風呂を沸かして「寒かったやろ、早よ入ってき」と待っていてくれた。  特別寒かった日のお風呂のお湯の痛さをお分かりいただけるだろうか。  冷えた身体を早く湯船で温めたいのに、雪で凍てついた体にほかほかのお湯は凶器だ。びりびりと電気が走ってしまうので、ここはぐっと我慢して先に髪と体を洗う。  そうして頃合いになったら、おそるおそる湯船に浸かる。  うう、まだお湯が全身にしみる!  しかし、それ以上にしみわたる心地よさ。一日の疲れ、苦手な英語で指名された(あてらてた)嫌な記憶なんか吹き飛んでしまう!  あれから数年。  久しぶりに学生時代、しかも英語の授業の夢を見た。  こんな日は久しぶりにお風呂を沸かして、肩まで浸かってみようかな。  もやもやした気分をきれいに洗い流してくれる。  冬のお風呂は特別な存在だ。
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