2 夢からさめてもピンチ!(泣)

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 もちろん、この物語を読んでいるあなたも、たぶん1分もあったらわたしをこてんぱんに……いや、やめてね? イジメないでね? 仲良くしてね?  と、とにかく、強いものには巻かれろなのです!(作者より:正しくは「長いものには巻かれろ」です) わたしの場合、世界のおおかたの人間がわたしよりも強いけれど! 「ばく! ばく! ばく! ちから、かえせばくぅ~!」  わたしが殺し屋小学生に500円玉を差し出しているあいだも、わたしの頭を噛みつづける赤髪のおチビさん。何なんだろう、この不思議な状況(じょうきょう)……。 「……ふぅ~ん、こいつが夢幻鬼(むげんき)バクか。すっかり弱体化しちゃってるわね」  殺し屋小学生は、わたしのことなんか無視してそうつぶやくと、ガムをぷくぅ~とふくらませながらスカートのポケットからなにかを取り出した。  女の子の手のひらにあるのは、八角形のお堂の小さな模型(もけい)。  わたしのお父さんがお城やお寺の模型を組み立てて部屋に(かざ)るのが趣味だから、わたしはよく知っている。  あの模型は、法隆寺(ほうりゅうじ)にある夢殿(ゆめどの)という建物にそっくりだ。そうそう、聖徳太子(しょうとくたいし)さんゆかりの有名なお寺ね。  あの~……なんで、トートツに模型なんて出してるんですか? 500円いらないんですか? それじゃあ、財布にしまってもいいですか? 「おい、そこのへたれ妄想女子。いまから、ちょっとのあいだ、夢の世界についてきてもらうわよ。むこうで、オオクニヌシさまが待っているから」  オオクニヌシ?  それって、日本神話に出てくる神様の名前だよね? ワニに毛皮をはぎとられて泣いていた因幡(いなば)(しろ)(うさぎ)を助けたとかいう……。  その神様と、平凡(へいぼん)な病弱美少女のわたしに何の関係が?  わたしがキョトンとしていると、女の子は夢殿の模型を天高くかかげ、こうさけんだ。 「夢殿よ、われを夢の国へといざなえ!」 「え? え? なになに!?」  夢殿(の模型)からまばゆい光の線がいく(すじ)(はな)たれ、わたしは思わず目をつぶった。  そして、次に目を開いたときには、わたしはたくさんの花々が咲き乱れる不思議な場所にいたのだ。  ほえ? わたし、さっきまで公園にいたよね!?
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