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3 夢守少女、誕生!
「あなたが浮橋夢美さんですね。ようこそ、夢の世界へ」
公園からいきなりお花畑にワープして、ビックリしたわたしがきょろきょろと周囲を見回していると、うしろから優しげな男の人の声が聞こえた。
ふりかえると、そこには黒いスーツ姿の営業マンっぽい男の人が。
その横には、さっきのウサ耳パーカーの女の子もいる。
「オオクニヌシさま! 言われたとおり、ユメミっていう子をつれて来たわ! ほめて、ほめて!」
ウサ耳パーカーの女の子は、キャッキャッとはしゃぎながらスーツ姿の男性(見た目は20代なかばくらいかな?)の足にまとわりついている。
な、なんだ、あのかわい子ぶりっこは……。
わたしに「なにじろじろ見てんだ、おらぁ!!」とか凄んでいたのがウソみたい……。
「よくやってくれましたね、ハクト。えらい、えらい」
「えへへ~♪ オオクニヌシさま、だーい好き!」
ハクトと呼ばれた少女は、営業マンっぽい男の人に頭をなでられると、顔をふにゃけさせた。
……ん? さっきから、この営業マンさん、「オオクニヌシ」とか呼ばれてる?
いやいやいや、出雲大社という大きな神社でまつられている神様がこんな営業マンみたいなかっこうをしているわけないじゃん。冗談はやめてチョンマゲ。
そんなふうに思っていたら……。
「はじめまして、ユメミさん。わたしの名前はオオクニヌシ。神様です」
直球で、神様名乗ってキターーーっ!!
ど、どうしよう。神様を自称するなんて、かなりアブナイ人なんじゃないかな。関わりたくない……。
自称神様の男性は、わたしがドン引きしていることに気づいていないらしく、ニコニコと愛想のいい笑みを浮かべながら自分の言いたいことを話しはじめた。
「今日、あなたを夢の世界にお招きしたのは、他でもありません。ユメミさんにお願いごとがあったからです」
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