3 夢守少女、誕生!

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「中国から伝わった伝説のケモノ……。あっ、日本では『人間の悪夢を食べてくれる』という言い伝えがある、あの獏のことですか」  恋愛ものだけでなくファンタジーや冒険もの、ときには歴史小説まで、小さいころからいろんな物語を読んできたわたしは、獏という夢を食べるケモノが登場するお話をたまたま読んだことがあったから、すぐに理解できた。 「話が早くて助かります。彼は、人間たちが語りついできた伝説のとおり、人々を苦しめる悪夢を手当たりしだいに食べてくれる、わたしにとってはとてもつごうのいい……げふん、とても便利な……げふん、げふん! ……とてもありがたい存在(そんざい)だったのです」 「このバクくんが悪夢を食べると、どうしてあなたが喜ぶんですか?」 「それは、夢の世界が、わたしの管轄内(かんかつない)にある世界だからですよ」  管轄? つまり、この神様が夢の世界を管理(かんり)しているってこと? 「まずは、わたしが夢の世界の管理者となった話から説明しましょう。あれは、とてもとても気が遠くなるほど、はーるか昔のことでした…………」  自称神様は、遠い目をしながら、わたしに聞きたくもない過去話を語り出した……。             *   *   *
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