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「もう注射はいやーっ!! 毎日、毎日、病院でお注射しているのに、なんであんなどでかい注射器で打たれないといけないのよー!!」
小さなころから病弱だったわたしは、病院によく入院して、あまり小学校には通えなかった。だから、友達もぜんぜんつくれなかった。
友達がいない私に、だれもお見舞いになんか来てくれない。せめて可愛い弟か妹がいたら、お父さんやお母さんといっしょにお見舞いに来てくれて、さびしさをまぎわらすこともできたんだろうけれど……残念ながら、わたしは一人っ子だった。
中学校に入学するまでには元気な体になって、友達をいっぱいつくりたい。そう願っていたわたしは、嫌いな注射も毎日がまんしていたし、
「この手術に成功したら、きっと元気になれるからね」
お医者さんにそう言われた大きな手術も、恐かったけれどがんばって受けたんだ。
いや、最初は「手術恐い手術恐いガクブルガクブル……」ってビビってたんだけど、
手術を拒否して病院を逃げ出したら道ばたで苦しくなって死にそうに……!!
……という夢を見たものだから、なんだか不気味でね……。一世一代の決心をして、手術を受けて無事に成功したの。
それで、よーやく、長かった入院生活も終わったのに……。
「なんで、あんな化け物みたいに大きい注射器に追いかけ回されないといけないのよぉ! 神様のバカぁー!」
逃げるわたしと空飛ぶ巨大注射器たちの距離がだんだんせばまる中、わたしは大声でさけんだ。
すると、わたしの頭上で、だれかがこう言ったの。
「安心しろ。これは夢だ。おまえは、悪い夢を見せられているんだ」
「え? 夢? これは夢なの?」
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