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つまり、夢の世界の管理が大変だったから、急にあらわれたバクくんに夢の世界を丸投げしちゃったてこと?
え~……。それは、ちょっと無責任のような……。
「おい、こら! いま、あんた、オオクニヌシさまのことを無責任だと思ったでしょ!? オオクニヌシさまだっていろんな世界を守らなくちゃいけなくて大変なんだからね! バカにしたら、口の中にニンジンをつっこんでガタガタ言わせるわよ!!」
わたしがびみょ~な顔をすると、ハクトちゃんが鼻息荒く怒った。
ひ、ひぃぃぃ~! やっぱり、この子、こわ~い!
「こら、こら、ハクト。ちょっと落ち着きなさい。本題はここからなのですから」
「ほ……本題はここから、ってどういう意味ですか? まだ話が続くんですか? 帰ったらダメですか?」
「ユメミさん。わたしは最初、あなたにお願いごとがあってここにお招きしたと言いましたね。そのお願いごとというのは……あなたに今日から夢の世界を鬼たちから守る、『夢守』の仕事をやってほしいのです」
「……え? は? ええええええ!? な、なななななんで、わたしが!?」
わたしはおどろきのあまり、マンガみたいにひっくり返ってしまいそうになった。
ど、どうして、病弱な美少女という以外はごくごく平凡で、どこにでもいる女の子のわたしがそんなことをやらないといけないの!?
「それは、さっきも言いましたが、あなたがバクくんの力の大半を吸収してしまったからですよ」
「わ、わたし、そんなことをしたおぼえが……」
「あなたは夢の中でバクくんに抱きつきましたよね? そのとき、あなたは無意識にバクくんのエネルギーをごっそり吸い取ってしまったのです。
そのエネルギーというのは、夢の中で戦ったり、空を飛んだり、武器を生み出したりなどができる、夢想力と呼ばれるもので、ユメミさんはもともと夢想力がふつうの人間とは思えないほど高かったから、逃げるバクくんを飛んでつかまえることができてしまったのです。
しかも、あなたが『他者の夢想力をうばう』というレアな能力の持ち主だったため、今回のような事故が起こってしまいました……」
そ、そういえば、オレさま系イケメンの顔を見たくて、逃げる彼にしがみついちゃったような……。
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