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オオクニヌシさまに頭をなでられて、うれしそうなハクトちゃん。
わたしはというと、もう何が何だかわからなくて、こんな変てこな夢は早くさめてほしいと祈っていた。
「夢守の少女ユメミさん。というわけで、夢の世界をよろしくお願いします。ついさっき、あの世で武田信玄と上杉謙信が第274次川中島の戦いをはじめて、あの世の住人たちが迷惑しているという情報が入ったので、わたしは2人のケンカを止めに行かないといけません。これにて失礼します」
「えっ、ちょっと待ってください!」
「やれやれ、あの2人にも困ったものですねぇ~。死んでもなおどっちが強いかにこだわるなんて。274回も戦って勝負がつかなかったら、互角でいいじゃないですか」
オオクニヌシさまはそうぼやくと、わたしの前からフッと一瞬で消えてしまった。
あの世にも川中島っていう地名があったのか……。
いやいや、そうじゃなくって!
え!? わたし、本当に、夢の世界を守るために戦わないといけないの!?
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