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わたしがあっけにとられていると、おどろくべきことが起きた。
針だけでもわたしの身長と同じぐらいの大きさだった注射器たちが、「オレさま」さんの大きくあけた口にどんどんと吸いよせられていき、彼の口に近づくにつれてどんどん小さくなっていったのだ!
最終的に普通サイズの注射器よりもずっと小さいお豆サイズになり、「オレさま」さんは、5つの注射器をごっくんと飲みこんだ。
「い……痛くないの? 注射器の針、のどに刺さったりしてない?」
注射器を食べるなんて、絵的にとっても痛そうな光景を目の当たりにしてしまい、わたしは「オレさま」さんにおそるおそる聞いた。
とりあえず、読者のみなさん。良い子はマネしちゃいけません!(マネできるわけないけどね!)
「これは、夢幻鬼がおまえに見せていた悪夢……夢の中の幻だ。だから、本当の注射器じゃない。でも、夢の世界の住人たちの中でも、悪夢を食べられるのは、このオレさまだけだがな! どうだ、すげえだろ!」
「オレさま」さんは得意げにニヤリと笑って、そう答えた。
相変わらずピカピカ光っているから、彼の顔はよく見えないのだけれど、なんとなく雰囲気で笑っているのがわかった。
そして、これもなんとなくだけれど、この子は超絶イケメンのような予感がする。
少女マンガや恋愛小説とかで、オレさま系のイケメンってよくいるでしょ?
しゃべりかたは乱暴で、ちょっと強引なところもあるけれど、物語のヒロインがピンチなときには助けに駆けつけてくれる……。
これぞオレさま系イケメン! そして、目の前の彼はわたしを助けてくれた!
まるで、小説やマンガみたいだよぉ~!
わたし、ずっと病院のベッドで寝ていたから、趣味といったら読書ぐらいで、いろんなジャンルの小説やマンガを読んでいたの。特に恋愛ものが大好き!
そのせいで、寝ていても起きていても物語の妄想をしちゃっている、想像力豊かな女の子になってしまったの。
頭の中で、オレさま系イケメンと何度デートしたことか!!
そのオレさま系イケメンが(夢の中だけれど)目の前にいると思うと、わたしはいても立ってもいられなくなったのデスヨ!
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