1 いきなり大ピンチ!

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「『オレさま』さん、助けてくれてありがとう! ねえ、ねえ、そのピカピカやめて、顔を見せてよぉ~!」 「だ・か・ら! オレさまの名前は、『オレさま』じゃねえ! 何なんだよ、おまえ!」  わたしが恋する乙女のように目をキラキラ輝かせながらせまると、『オレさま』さんはなぜかおびえたような声でそう言い、一歩、二歩とあとずさった。 「え? なんで逃げるの?」 「目がギラギラしていて恐いんだよ! 邪悪なオーラを感じる! オレさまのことを取って食うつもりか!?」 「そんなわけないじゃん! 恋にあこがれる乙女にむかって失礼な!」  プンスカ怒りながらわたしが一歩近づくと、「オレさま」さんは三歩あとずさる。  も、もう~! 何なのよぉ~、傷つく~! わたしはただオレさま系イケメンの顔をおがみたいだけなのにぃ~! 「た、助けてやったんだし、これでさよならだ! じゃあな!」  ついに、「オレさま」さんは飛びあがり、空中に逃げてしまった。 「あっ! ま、待ってよぉ! ……よ~し! だったら、わたしも飛んでやるんだから!」  ここはわたしの夢の中なんでしょ?  何でもありの夢の中だったら、わたしも飛べるはず!  そう考えたわたしは、(ちょう)が空を舞っている光景をイメージして、 (蝶の羽よ、わたしの背中に生えろ!)  と、(ねん)じてみた。すると……。 「やったぁ~! 蝶の羽が生えたぁ~!」 「う、ウソだろ!? 人間のくせに、なんていう夢想力(むそうりょく)の強さだ!」  わたしは、アクアマリンの輝きをはなつ蝶の羽を優雅(ゆうが)にはためかせ、「オレさま」さんを追いかける。
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