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「オレさま」さんは、わたしが空を飛べたことにおどろいて動揺しているみたいで、飛ぶスピードはかなり落ちていた。
「つっかまえた~♪」
「わっ、こら! おまえは酔っぱらいのオヤジか! オレさまにふれるな!」
現実世界では引っこみ思案で大人しいわたしだけれど、自分の夢の中でならだいたんになれる。
わたしは、逃がさないように、ガシッと「オレさま」さんにしがみついた。
「さあ! イケメンの顔を見せてもらおうか!」
「は、はなれろ! な……なんだか、力がぬけていく……?」
わたしにしがみつかれて、「オレさま」さんはジタバタとあばれた。でも、その抵抗する力はしだいに弱くなっていき……。
ん? 心なしか、「オレさま」さんの体、縮んでいってない?
「う、うわぁぁぁぁ!! ち、力が……力が吸われる~!!」
心なしどころか、あきらかに縮んでいってるよ!?
しかも、「オレさま」さんの体をおおっている黄金の輝きが消えていく!
な、なに!? なにが起きているの!?
おどろいたわたしが目をパチクリさせているあいだに、黄金の輝きは完全に失われてしまった。そして、わたしの目の前にいたのは……。
「ば……ばくぅ~……」
なんと、5~6歳くらいの可愛らしい男の子だった!
カンフーの道着みたいな服装をしている、その小さな男の子は、ニンジンのように髪が赤い。くりくりの目はとても愛らしく、ほっぺたは指でつつきたくなるほどプニプニとやわらかそうだ。
「な、なんじゃこりゃぁ! 殺人的に可愛いんですけれど!?」
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