Code1-1;連なる始まり

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Code1-1;連なる始まり

 身体の芯に響くような振動と、遠い場所から聞いてもけたたましいとしか表現しようのないサイレンの音に、アルノルド=ノイマンは文字通り跳ね起きた。  外はまだ暗い。室内も、同じように薄墨を流したような闇に沈んでいる。時計を確認すると、デジタル表示は午前四時過ぎだ。 (……地震か?)  まだ半分寝ぼけた頭でそう考えるが、既に地面の揺れは収まったにもかかわらず、サイレンの音は相変わらず続いている。  ならば、火事だろうか。  もしも火事なら、こうしてはいられない。  ノイマンは、天然パーマのかかった頭を軽く振って眠気を追い払った。  枕元の黒縁メガネに手を伸ばし、手早く身支度を整える。万一外へ避難しなければならなくなった時の為に、寝室の壁に掛けてある厚手のコートを手にしたその時、枕元の携帯端末が着信を告げた。 「私だ」  端末を耳に宛てる。 『所長! 大変です!!』  ツーコール程で出たのだが、それでも遅いとでも言いたげな部下の声が噛み付くように飛び込んで来た。 「……何があった」  これだけやかましくサイレンが鳴り響いているのだから、大変なのは分かっている。そう言いたいのをかなり苦労して呑み込み、説明を促す。 『爆発です! 研究所が爆破されました!!』 「研究所が?」  では、このサイレンは自宅ではなく、研究所から聞こえるものか。  ノイマンは端末を耳に宛てたまま、急いで寝室から廊下へ出た。室内で聞いていた時よりも僅かにサイレンの音が大きくなる。  廊下に設置されている大きめの窓に掛けられたカーテンは、この冬場の寒さを多少なり防ぐ為に厚手のものになっている。それを引き開くと、普段は少し遠い所に見えている研究所の建物が炎に包まれているのが嫌でも確認できた。 「どういうことだ」 『まだ詳しいことは……爆心は地下研究棟らしいとしか』 「地下研究棟だと?」  普段滅多な事では動かない無表情の中で、ノイマンは目を見開く。 「とにかく、まずは消火だ。私もすぐそちらへ向かう」
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