屠殺場、牛殺しの政

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 「もうあなたとは一緒に暮らせません」  「オレだって好き好んでこんな仕事してるんじゃない。 誰かが汚れ仕事しなきゃ、 世の中うまく回らないんだ」  「なぜ黙っていたんですか?」  またこの話しか。 長尾政は日本酒をちびりちびりあおりながら身重な妻に説明した。  「オレはたしかに牛や豚を殺している。 1日に数百頭。 いや数千頭。 肉にするため家畜を殺している。 すべては人の為だ。 感謝されるいわれはあっても非難されるおぼえはない」  政はついこの前まで妻に仕事内容を伝えていなかった。 あえて詳細を語る必要はないと思っていた。
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