第1話 お母さん、ボク死んじゃうの?

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 来月、 誕生日が来れば達也は4才になる。  母親は、 誕生日になれば三輪車をプレゼントしてくれると言った。  達也は待ち遠しくて仕方がなかった。  1週間が過ぎ。  2週間が過ぎ。  そして1ヶ月が経ち、 達也は誕生日を迎えた。  ふてくされたように光代は古ぼけた中古の三輪車を達也の前に放り投げ、 これに乗ってどこへでもお行き、 と言った。  廃棄物処理業者から安く譲ってもらった三輪車には、 知らない人の名前がマジックで書かれていた。  でも達也にはそんなの関係なかった。  うれしかった。  初めてのプレゼントだった。
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