第1話 お母さん、ボク死んじゃうの?

16/23
前へ
/39ページ
次へ
 育児をする母親達の間では、 噂というものは瞬く間に広まるもので、 光代がスナックで働いていること、 育児ノイローゼであることなどが、 近所に知れ渡ってしまった。  光代は達也を殴った。  「今日から3日間、 あんたは、 ごはん抜きだからね。 返事は?」  恐れていたことが達也の身に降りかかろうとしていた。  3日間、 達也は一歩も外に出ることを許されず、 ただ家の中で息を殺してじっとしていた。  猫の餌を食べ、 水を飲むしか腹を満たす方法はなかった。  来る日も来る日も水を飲み、 猫の餌を食べた。  空腹で頭がおかしくなりそうだった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加