3人が本棚に入れています
本棚に追加
言う必要がないと思っていた。
田中くんは達也を乗せ、
神社へ通じる道を通り、
木々であふれる住宅街を押して歩いた。
爽快だった。
空気がハッカのように感じられ、
風の中を走っているようだった。
そこには確かに風の中を走っているような爽快感があった。
「これで勢いよく坂道を下ったら、
格好いいだろうな~」
達也は田中くんの言葉にオーバーに賛同してみせた。
2人は坂道の、
ちょうどてっぺんにある1番高い場所を陣取っていた。
大丈夫だろうか……。
達也は不安だった。
でも恐いなんて、
口が裂けても言えなかった。
「平気、
平気。
へっちゃらだよ」
強がってそう言い放ったものの、
達也の顔は青ざめていた。
最初のコメントを投稿しよう!