第1話 お母さん、ボク死んじゃうの?

2/23
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
ほんの小さな手がまだ眠っている蕾のようにゆっくり花開いた。  ピーッ。  狭い室内に電子音が響き、 心電図モニターの波形が直線になった。  心拍数のメモリがゼロを記録し、 手術室が騒がしくなった。  看護婦が持ち場を右往左往している。  「心肺蘇生」  「はい」  「人工呼吸、 開始」  AEDの準備が進められ、 わずかな時間を縫って人工呼吸が繰り返された。  AEDを人体にあてる。  体が電気ショックでわずかに反応するものの、 心臓は停止したままだった。  何度も繰り返された心臓マッサージは医療の甲斐なく徒労に終わった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!