第1話 お母さん、ボク死んじゃうの?

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 田中くんがリヤカーを押した。  リヤカーは、 そろそろと、 ゆっくり坂に入っていった。  そして坂に入った途端、 猛烈な勢いで加速し始め、 一気に坂を下っていった。  ぐんぐん加速するリヤカー。  坂道を下るスピードがMAXを迎えた。  リヤカーのハンドルを持ち続けるのは、 もはや困難だった。  つまずいて転んだ田中くんを置き去りして、 ものすごい勢いでリヤカーが坂道を下っていく。  「助けて。 助けて~」  達也は叫んだ。  このまま行けば坂の下のブロック塀に激突してしまう。  声を振り絞るものの、 辺りに人影はなかった。  坂の出口にバスが見えた。
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