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ほっぺたが真っ赤になって、
腫れ上がるくらい叩かれても、
光代は気にも留めなかった。
世の中には理解できないことが山ほどある。
親を憎悪するルサンチマンな息子もいれば、
親を愛しているのに報われない子供、
自分の腹から産まれた我が子を憎む親もいるということだ。
達也の両親は達也の誕生後わずか数ヶ月で離婚を決意し、
生まれたばかりの達也は光代が引き取っていた。
もちろん達也にその頃の記憶はない。
ただなんとなく感じるほのかなノスタルジーと、
父親と一緒に写る数枚の写真が、
自分は愛されていたんだなという実感を達也にもたらしていた。
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