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別れた父親に顔が似ていた達也は母親である光代から毛嫌いされ、
光代の再婚相手となる啓介にも邪険に扱われた。
両親が離婚するまで可愛がられて育った達也の状況は、
両親の離婚を機に一変してしまった。
ふとした仕草や笑い方が離婚した夫によく似ていた達也は、
まさに運命に弄ばれ、
茨の道をさまようことになった。
うっかり母親に甘えようものなら頬をぴしゃり。
母親が再婚を決めた啓介には蹴られ殴られたりして、
食事も満足に与えてもらえなかった。
いや満足に、
なんていうものではなかった。
食事は昼に一度。
粗末なおかずが添えられているだけのわずかな食事は、
ごはんに梅干しだけとか、
ごはんに卵焼きだけのときもあり、
達也は砂糖菓子のように甘い1個の卵焼きを噛みしめながら味わって食べることも多かった。
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