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この建物の前に立ったのは、これが二度目だった。
初めて手を繋いだ夜からしばらくして。
蓮は、コンビニに向かった。
牛乳がないから、買わないといけない。
そんな理由にこじつけて、慶太郎のマンションの隣のコンビニに足を向けた。
蓮のマンションから直近のコンビニはここなのだから、特段理由がなくても、いつ行っても、何もおかしいことはない。
そう分かっているのに、何か理由がないと恥ずかしくて。
もしかしたら会えるかもしれない。
そう思うと、お風呂に入った後だというのに薄化粧をして、着ていく洋服にもつい気を使って。
やだなぁ、私。
何、やってるんだろう…。
半ば自分に呆れながら、でも。
足取りは軽った。
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