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慶太郎はなかなか出なかった。
10コール目ぐらい、かけ直そうかと耳からスマホを少し離した時、コール音が途絶えた。
「…もしもし…」
眠そうな低い声が、聞こえてきた。
予想していた事なのに。
初めて聞く慶太郎の眠そうな声に、蓮の胸はドキッと音を立ててときめいた。
「…もしもし?慶太郎?…あの…よ、吉…野…ですけど」
私だよ。
そう言えなくて、つい吉野と名乗ってしまう。
私では、蓮だと気がつかないのではと、そんな風に考えてしまう、自信の持てない自分をとてももどかしく思った。
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