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「…蓮?…おはよう。電話、ありがとうね」
眠そうな低い声なのに、優しく微笑んでいるようにも聞こえて、まるで耳元で囁いているようだった。
「さっ…て、起きないと」
伸びをしながら話しているかのような声の後、ガサゴソと起き上がる音が聞こえてきた。
「…あ、慶太郎!部屋、何号室?」
早く行かないと!
慶太郎が用意を始める前に。
寝起きの慶太郎に、会いに行かないと。
「…部屋?」
不思議そうな声から、眠気は消えているようだった。
「部屋!マンション!」
急かすように、蓮は矢継ぎ早に問いかけた。
「…501」
「わかった!」
何か声がしたけど。
そのまま通話を切ると、急いでエレベーターのボタンを押した。
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