もっと一緒にいたいのに。

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指先からおそるおそる視線を上げていって見つめた先で、そうちゃんはものすごく困った顔をしていて。 ……そうだよね。困るよね。手をつないでもいいか、なんて。 というかもしかしたら嫌だよね。 …………ああ。 そうか。 ……そうか。わたし、馬鹿だった。 気づいた憶測に心が苦しくなって、ほてりが急速に引いていった。 「佐藤くんごめん、気にしないでっていうか忘れてお願い、ごめん」 「……佐藤さん」 早口でまくしたてる。 何も考えずに、なんて馬鹿なことをしたんだろう。 なんて、なんて愚かなこと。 慌てて手を離す。 振りほどかれた速さにそうちゃんの手は一瞬ぴくりと反応して、そのまま中途半端に固まった。 「ごめん」 泣きたい衝動をこらえて、冷えた右手を握りしめる。 鼻が痛い。触ると凍りつきそうに冷えているのに感覚は燃えるような熱さの右手が、まるで自分のものじゃないみたいだった。 視界がぼやけ始めるのに焦る。 駄目、違う、泣くのは駄目、違う……! 泣くなんて駄目だ。それはあんまり卑怯で、幼くて、身勝手なことで。そうちゃんを、困らせる。 顔が歪みそうできつく唇を噛んだ。 「ごめ」 「佐藤さん」 切羽詰まった声で呼ばれた名前が、謝るわたしを少しだけ強引に遮って。 そうちゃんの節の高い指先が、わたしの指をさらった。
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