もっと一緒にいたいのに。

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「っ」 わああ、どうしよう嬉しい。すっごく嬉しい。 た、耐えろわたし、耐えるんだ、奇声なんか上げたらおしまいだあああああ、でも嬉しい。どうしよう嬉しい。 可愛いって……! そうちゃんが可愛いって……! えへへ、と笑み崩れて悶えていると、そうちゃんがこちらをじっと見ているのに気づいた。 これはあれだ。きっとあれだ。返事を待ってるんだ。 ……えっと。えーっと。 嬉しすぎて噛みしめてる場合じゃない、何か、何か言わないと……! 「あのっ」 「うん」 ニヤけてるのはバレバレなので、もういっそのこと隠さない。 普段言えない本音を勢いよく言っちゃえ。 「佐藤くんはかっこいいよ!」 「は……?」 「佐藤くんはかっこいいなあっていつも思ってるよ、わたしは」 堂々とぶっちゃけると、そうちゃんが固まった。 「……え、何急に、何言ってんの佐藤さん」 何、と言われれば。 「だって佐藤くんが急に褒めるから照れるし嬉しいしこう、褒め返そうと思って」 「だっ、から……!」 カッとそうちゃんの顔に血が上った。ゆでダコみたいな真っ赤な顔が珍しい。 「本当に何を言ってんの佐藤さんは……!」 焦ったそうちゃんにジト目で睨まれて気づいた。 あ、確かに。 照れるし嬉しいとか言ってしまった。いや本心だけど。 そうちゃんは顔をしかめながら、ごまかすみたいに、つないでいない方の手でぐしゃぐしゃ前髪を乱している。 「ごめん、あんまり考えてなかった」 「馬鹿だろ佐藤さん……頼むから考えてよ」 ……ほんとお願いします。俺が困るんだよそういうの。 嗄れた呟きに、もう上がりきったと思っていた体温が、ぐんと上がった。
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