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急に怖くなって、そんなのはあんまり悲しくて泣いてしまいそうで、嫌で、嫌で、言い募る。
「あの、あれ、て、照れない? わたしすっごく照れるんだけ」
「ストップ。佐藤さんストップ」
……それ以上はなしで。
「っ」
硬い声に早口で遮られて、視界が歪んだ。
押し殺したため息に肩が跳ねる。
「佐藤さん」
「っ」
「佐藤さん、こっち見て」
おそるおそる顔を上げると、そうちゃんは不自然に無理矢理固めたみたいな、平坦な表情をしていた。
こ、怖い。
「あのさ」
「……うん」
だから。
「…………照れるに、決まってんだろ」
呟きは、むすり、かすれた声で。
う、わあ。
うわあ。うわあ。
ばっと目を逸らす。
じわじわ赤くなる耳。
強張る肩。
握った両手。
「……で、ですよね」
「……ですよ」
ちらり、正面を向いて、目が合って。
二人とも敬語になっちゃったりして。
お互いの真っ赤な顔に耐えきれなくて、もう一度、勢いよく視線を外した。
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