もっと一緒にいたいのに。

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しばらく黙り込みながら、大きな窓の外の景色を二人ともなんとなく眺める。 顔は外に向けたままでそうちゃんが呟いたのは、ちょっとだけ急な話題転換だった。 「なんかデトックスウォーターあるらしいけど。ご自由にどうぞだって」 「わ、そうなんだ! いいね、飲みたいね」 「俺も飲みたい」 そうちゃんの席からだと、貼り紙とジュースディスペンサーが見えるらしい。 お水はあるけど、デトックスウォーターなんてちょっと気になる。果物が売りのお店だし、やっぱり美味しいのかな。 「俺行ってこようか。味二つあるみたいだけどどっちがいい?」 「ありがと、でも一緒に行く」 「そう?」 「うん。行こう行こう」 「ん」 鞄を持ってそうちゃんの後ろに並び、隅に向かうと、わたしの肘より背が低い棚があった。 ジュースディスペンサーから少し離れた左側に、細長い一輪挿しの、透き通った濃紺の花瓶が置かれている。 花瓶の下には丸い真っ白なレースが敷かれていて、すごく可愛い。 挿してあるのは小ぶりの花で、明るい黄色がとても鮮やかだ。ユリみたいな提灯型の、可愛い花。 向日葵もそうだけど、夏はやっぱり黄色が似合う季節だよね。
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