すぐそばにいてよ。

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すぐそばにいてよ。

幼なじみというものは、大抵が複雑な関係だと思う。 家が近くて、年が近くて、お母さんたちも仲良かったりして。 一緒に遊んで、一緒に大きくなってきて。 異性にしろ同性にしろ家族みたいなもので、でも何か家族とは違う。 幼なじみをつなぐ複雑さは、友情と言うには少し大きくて、絆と言うにはあまりにささやかで、言い表すのが難しい。 家族じゃないけど家族みたいに大事な親しい人──多分、一番近しい表現を挙げるとしたらこんなふうになるんだろう。 そして。 多くの人に分かってもらえると思うけど、幼なじみが異性だった場合、なんだか妙にその人がかっこよく見えたり、可愛く見えたりすることがあると思う。 つまりは、幼なじみに恋をしてしまうことも、なくはない……んじゃないかな。 その中には、後々悶えつつ馬鹿だったなあと流せる人も、長い間思いを引きずる人もいると思う。ちょうど、わたしみたいに。 わたしの好きな人は幼なじみだ。もう長い間、ずっと。 一緒に馬鹿なことをたくさんした。喧嘩もたくさんした。 でもやっぱり、何度喧嘩しても、少しずつ疎遠になっても、嫌いにはなれない。 家族じゃないけど、家族じゃないからこそ、すごくすごく大事で、すぐそばにいて欲しいのは、いつだって君なんだ。
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