愛惜のはじまり

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気を取り直してカバンの中から必要な物を取り出して、机の中に入れようとした途端に更なる追い討ち。 「ぁっ」 隣の彼が小さく叫ぶ。 「悪い、そこに漫画入ってない?」 私は訝しく思いながら手探りでそれを探す。 手に当たったものを取り出して、その表紙をちらりと見た。 「……あっ」 今度は私が叫ぶ。 「これ、もう出てたんだ……」 つい、口からこぼれた独り言。 買い集めているマンガの最新巻。 早速帰りに本屋さんにに寄らなくてはと思いながらそれを彼に手渡す。 「え?何?あんたもこれ読んでんの?」 あんた……だなんて随分と失礼なことを言う。 まあ、知らない人からキミとか呼ばれてもざわっとしそうだけど。 「うん、今日買って帰る。前回の続きずっと気になってたから」 「良かったら今読む?俺もう読んだから貸そうか?」 マンガ好きにその言葉は甘い蜜のような誘惑。 「ホント?……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう」 買うには買うけど、一瞬でも早く読みたいマンガバカ。 何だ意外と良い奴じゃん、とこんな簡単にいい人認定してる自分に呆れながら早速ページを捲る私。
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