愛惜のはじまり

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兄の影響か。 少女マンガも好きだけど、少年マンガも青年マンガも分け隔てなく読む。 意外に青年マンガでもキュンとしちゃうことがあって、男の人もキュンキュンしたいのかな?なんて思ってしまう。 彼から借りたのは少年マンガ。 高校生の自転車ロードレースのマンガ。 やっぱり、スポ根熱くて良いなぁなんてウキウキしながら真剣にページを巡っていく。 「ああっ、面白かったぁ!続き気になるうっ」 出たばかりの最新巻をぎゅっと胸に抱え、足をジタバタさせる。 また数ヶ月先が楽しみでならない。 「ありがとう、これ。すごく面白かった!特にっ……」 彼に借りたマンガを差し出して、そこで漸く我に返る。 ヤバ、テンション高めに引かれたか。 マンガの事になるとつい熱く語ってしまう悪いクセ。 それをニヤニヤ顔で見詰め返す彼。 「な、俺も続き楽しみ。俺は特にさ……ほら、ここ」 と言ってそのページを開いてこちらに見せた。 「そう、そこ!滅っ茶感動した!」 「だよな、俺読んでて泣きそうになったもん」 その笑顔に、私は胸を刺された。 ぐっさりと、深く深く。
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