愛惜のはじまり

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愛惜のはじまり

クラス替え。 仲の良かった子達とはみんなバラバラ。 黒板に張り出されていたA4サイズの紙を見て自分の席を探す。 ……。 そこには既に先客が居た。 それだけでブルー。 「……あの、そこ多分私の席」 「えっ!マジでっ!?悪い、すぐ退けるっ!……てか、俺の席どこ?」 「……さあ」 そんなの私が知る訳もない。 慌てて黒板に駆け寄り、自分の席を張り出された紙から探し出す彼。 それを黙って目で追う私。 「何だ、隣じゃん」 自分の持ち物を右隣に移していく彼。 それをまた黙って眺める。 「悪い悪い」 そう言って、本来の席に彼が座る。 それを見届けてから私は漸く自分の机の上にカバンをドサリと置いて、椅子に腰掛けた。 ……。 嫌だ。 この人の座った温もりが残っているのが。 初っ端から出鼻を挫かれた感満載。
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