承 カズ・フルーチェ

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承 カズ・フルーチェ

「ふむ、しかしこの死体の面持ちはどこかで見たような......」  年老いた刑事が少し考えると、答えはすぐに出てきた。──妻だ、ひとつ前の妻に酷似している。タラコのようにぷくりと膨らんだ唇や特徴的なワシバナは完全に一致してるように思えた。  しかし、元妻は内蔵の病気をいくつか患ってしまった為、一年前に私を気遣って自ら別れを告げたばかりだ。今ごろはどこかの病院で入院しているだろうし、そもそも写真の女であるA子は元妻ではない。  だとすると、この死体は?──
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