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「今日は本当にありがとうございました」
佑奈は深々とお辞儀をする。
「でも本当によかったんですか?お金……」
「いーのいーの気にしないで。それより2人が入部してくれたりする方が嬉しいしね」
「あははー。考えてみます」
解散して先輩達はもう1件行こうと次に行ってしまった。
「佑奈ちゃんの家ってカフェの近く?」
「あ、はい。実は徒歩3分くらいのとこなんですよ」
「そっかーじゃあ近いなら家まで送るよ。もう夜遅いしね」
「あー!アキが送り狼だぁっえっち!」
瑞希が冷やかす。
「なんでそうなるんだよ!近いのに1人で帰らす方がおかしいだろっお前は駅の方だろ?志波に送ってもらえよ」
「あぁ、豊田は俺が送るよ」
「さすが2人ともイケメンね」
佑奈は瑞希を思わず羨ましそうな目で見てしまう。
それに気づいた瑞希が小さくごめんねっと手を合わせた。
それを見て佑奈も手をぶんぶんと振った。
(家の方向的に仕方ないのに気を使わせちゃった)
帰り道、先程の瑞希の対応を見て少し反省する。
「どうだった?今日楽しめた?」
ぼーっとしていたらひょこっと昭が顔を覗かせた。
「はい。皆さんいい人だったし、楽しかったです 」
「よかった。おどおどしてたから大丈夫かなって少し心配してたんだよね。無理強いしちゃったかなって」
「すみません。結構人見知りで……その、上手く話すことができなくて」
正直あの場ですぐに仲良くなれるようなコミュニケーション能力を持っていたら、もっと友達が出来ているだろう。
しかしずっと田舎町で育ち、近所の人はみんな知り合い状態で育ってきた佑奈にとって、知らないところで新しい友達を作るというのは今まで経験したことのないことだった。
「いやいや全然いいよ。それにそろそろ敬語やめない?少なくとも俺たちタメだしさ」
「えっでも……」
「遠慮すんなって、俺たちもう友達じゃん?」
にかっと笑う昭に佑奈は少し安心感を感じた。
「…………うん。よろしくね」
(志波くんも椎名くんも本当にいい人だなぁ)
「じゃあまた今度な!よかったら入部の件も考えといてよ!!」
昭は本当に家の前まで送ってくれた。
「うん。また連絡するね」
「志波目当てだと期待外れになるかもしれないから気をつけて判断してくれな」
「そ、そんなことしないよ!」
昭は笑いながら手を振って立ち去った。
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