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出会ったのはほんの2週間前。
大雨の日に大学から家まで帰る途中だった。
細い道で車から大量に水をかけられてしまい、左半身びしょ濡れになってしまい泣きそうになってしまった時
『あの、大丈夫ですか?』
背が高い男の人に声をかけられた。
『あの!あんまり意味無いかもしれないけどこれ使ってください!!帰ったら捨てちゃってもいいんで!』
そう言って大きめのフェイスタオルを肩にかけてくれた。
『いや、でも私家近いんで大丈夫ですよ』
タオルを返そうとしたが、再び肩にかけられる。
『近いなら早めに帰って暖まってください』
彼は笑いながらそう言って立ち去ってしまった。
「何それベタ!漫画でよくありそうなパターン!」
「私も現実でこんなことあるんだーって思ったよ」
顔を真っ赤にする佑奈を見て、瑞希は和む。
「じゃあ名前もわからずモヤモヤしてるってところ?」
「……いや実は名前も分かるし、学部も知ってる」
「なんで?」
「タオルに大学名と名前が書いてて」
「じゃあタオルを返すという名目でまた会えるかもしれないじゃん!!」
瑞希は興奮して立ち上がる。
「いやっ一応行ったんだけど」
その人はスポ科の陸上部のエースでファンも多くいた。
練習場までは行ったものの、いつもファンに取り囲まれていて話しかけることが出来ないまま終わってしまっていたのだ。
「あの人混みの中、いきなり話しかけるなんて私にはできなかった……」
「スポ科の……陸上部エースって…………もしかして志波 隆太郎(しば りゅうたろう)のこと?」
「え!?瑞希知ってるの?」
「知ってるも何も、中学高校同じだわ」
「………………………………え?」
瑞希はにやっと笑った。
地元出身の瑞希は学内にも知り合いが多い。
「志波かぁー確かにイケメンだもんねぇ。連絡取ってあげよっか?タオル返すんでしょ?」
すっとスマホを取り出す瑞希。
「ちょちょちょ!待って!そんないきなり心の準備出来ないからやめてーーーーーーーーーっ」
しかし、瑞希の知り合いと聞いて少し運命かもしれない。と思ってしまった佑奈であった。
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