0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれー?アキがいる。こんな所で何してるの?」
さっそく瑞希が連絡を取ってくれて、放課後カフェで待ち合わせをすることになっていた。
「おーお前か。志波ならもう少しかかるってよー」
「志波を呼べばアキもセットでついてくるのは相変わらずなんだね」
「うちの旦那に何か用かしら?」
「ちょっいつからアキは嫁になったの」
あははっと声を出して笑う瑞希。
アキと呼ばれた男の子は中性的な顔立ちで少し明るめの髪色がとても似合う綺麗な男の人だった。
「あ、こいつは椎名 昭(しいな あきら)って言って、志波の相方みたいなもん」
「わ、私は松本 佑奈(まつもと ゆな)って言います!よろしくお願いします!」
佑奈はぺこりとお辞儀をする。
「え、ユナちゃん?」
佑奈は目をぱちくりとさせる。
「もしかして俺のことわかんない?」
「えっと……そのっ」
頭の上に大量のハテナが浮かぶ。
「なになにアキは佑奈のこと知ってるの?」
「こいつ、うちのカフェのバイトだよ」
「「えーーーーーー!?」」
2人で大きな声で驚いてしまう。
佑奈がバイトを始めたのは1ヶ月前からだが、昭のことは全然分からなかった。
(え?職場の人はちゃんとみんな覚えたはずなのに……というかうちのカフェって、えぇ?)
「おいおい学食であんまり騒ぐなよー。入口のとこまで聞こえてきてたぜ」
後ろから声がして振り向くと、そこに居たのは雨の日の人。
志波 隆太郎が立っていた。
「あっえっと……」
突然の志波の登場に、佑奈はさらに頭を混乱させる。
「ユナちゃんのバイト先のオーナーの名前、椎名だろ?俺の母親だよ」
「えっ椎名さんの……息子さん!?」
「なになに何の話ー?」
志波は昭の隣に座る。
「いや、瑞希の友達が偶然俺んちのカフェのバイトちゃんだったんだよ」
「すごい偶然ねぇ」
「あっさっき言ってた瑞希の友達ちゃん?俺、志波隆太郎って言うんだ。よろしくね」
志波は笑顔で自己紹介をした。
(笑顔もかっこ良すぎるっ)
「ま、松本佑奈です。よろしくお願いします」
何度かファンの子達に紛れて練習を見に行ったことはあったが、こんなに間近で志波と話すのは雨の日以来だった。
最初のコメントを投稿しよう!