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「あ、やっぱり佑奈ちゃんいた!」
バイト先に行くと昭がホールの席に座っていた。
「昭さん!?」
「ちょっとアキ、珍しく店の方にいると思ったらバイトの子ナンパするのはやめてちょうだいよ」
店のオーナーであり、昭の母親でもある椎名が呆れながら言った。
「ちげぇよ、その子瑞希の友達なんだって」
「あら、そうなの?大学同じなのは知ってたけどそこまでは知らなかったわ」
オーナーは大学生の子供がいるようには到底見えない、若々しく可愛らしい女性だ。
(でもよく見ると、昭さんは椎名さんそっくりだ)
昭もぱっと見ると中性的で可愛らしい男の子。
イケメンやカッコイイという言葉よりもキュートという言葉がぴったりな人だった。
「本当に椎名さんの息子さんだったんですね」
「えー、そこ疑ってたの?」
「あっいや……疑ってはなかったんですが、すごい偶然があるもんだなぁと思いまして……」
「あははっ冗談だって!じゃあ俺授業あるから行くわー」
昭は荷物をまとめて席を立った。
「んじゃまた学校でね!」
「は、はい!」
「アキもたまには店手伝いなさいよー」
「えーやだよ。あ、そうだった」
昭は鞄の中から1枚の紙を取り出し、佑奈に渡す。
「これ、うちのサークルのチラシなんだけどさ、今度飲み会あるから暇なら来てよ」
「え?サークル??」
「そっ。実は先輩に女の子最低1人は連れてこいって脅されててさー。もしサークル決まってなかったら見学がてらにどう?別に入部は強制じゃないからさ」
チラシには写真部と書かれていた。
「写真……部?」
「まぁ実際にそこまで真面目に活動してる訳じゃないんどけどね。ただ人数集めとかないと潰されちゃうって先輩がしつこくて」
「あんた……母親の前で堂々と未成年の女の子を飲みに誘うなんていい度胸してるじゃない」
椎名母の顔は笑顔だが、声はドスが効いていた。
「ばっか!飲み会って言ってもちゃんと俺たちはノンアルコールに決まってんだろ!歓迎会的なやつだってば!とりあえず佑奈ちゃん考えといて!また連絡するわ」
昭は慌てて店を出る。
「まったく、まぁ大学だと何かサークル入ってたら楽しいとは思うわよ。友達も沢山できるしね」
「サークル……」
(何も考えてなかったな。瑞希はどうなんだろう)
とりあえず佑奈はチラシをポケットにしまう。
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