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「おー!2人ともこっちこっちー!」
校門の前でブンブンと腕を振る昭。
そしてその隣には志波の姿があった。
「え、志波くん!?」
「あれ、言ってなかったっけ?一応志波も同じサークルなんだぜ。ほぼ幽霊部員だけど」
「仕方ねぇだろ。陸上部の練習で忙しいんだよ」
(えぇー!?そんなの聞いてないというか……そもそも心の準備が出来てないよーっ)
「佑奈ラッキーじゃん」
瑞希が小声で嬉しそうに言った。
「いやっそんないきなり……どうしよ~!」
「なーに2人でこそこそ話してんだよ。早く行くぞ」
昭が先導して歩き始める。
瑞希はそれに早足でついて行き、昭の隣に並んだ。
「本当にあんた達ってどこでも一緒なのねぇ」
「ま、俺と志波は運命の赤い糸で結ばれてるからな」
「椎名……気持ち悪いこと言うなよ」
まったくとため息を吐く志波。
瑞希が昭の隣に行ったことにより、自然と佑奈は志波の隣を歩く形になった。
(わわわっ何か!何か話さないと!!!)
しかしいきなりのことで対応出来ず、会話が出てこない。
「…………ぷっくくっ」
「え?」
いきなりの笑い声に佑奈はきょとんとした表情で志波を見上げた。
「いやっごめんいきなり笑って。佑奈ちゃんっていっつもオドオドしてて可愛いなぁって思って」
練習を何度か見に行った時の志波の表情はいつも真剣そのもので、キリッとした顔をしていた。
しかし、今は普段からは想像がつかないような可愛らしい笑顔だった。
(いや、こっちが普段の表情なのか)
不意打ちの笑顔に心打たれて、佑奈の顔は益々赤くなる。
「あー!ちょっと志波!!うちの佑奈にいったい何をしたのよー!!」
「えっいや!そんな何もしてないって!!な、なぁ?」
佑奈は必死に首を縦に振る。
瑞希はにやにやした表情で2人を見ていた。
「なんかさ、あの2人良さそうじゃない?」
ぐいっと昭の腕を引っ張り少し早足で歩きながら、瑞希は昭に耳打ちをした。
「あー……やっぱり佑奈ちゃんって志波のこと?」
「たぶんね。本人はまだ気になるけど……って程度にしか言ってなかったけど、あの様子なら」
「ふーん。ま、いいんじゃねーの?」
昭はそう言って少し離れた2人の様子をちらっと見た。
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