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「原田君。
君がやったのか?」
開口一番、
高橋が言った。
どうしてオレの名を。
原田は刑事が自分の名前を知っていることに驚きを隠せずにいた。
高橋刑事は、
原田にお茶をすすめた。
よく温まった、
しぶくて甘いお茶だった。
「どうして財布を盗んだの?」
誘導尋問にひっかかった原田は、
「お金に困っていたんです。
父親が病気で」
と嘘を言った。
「君に父親はいないはずだよ」
「えっ」
原田は少し驚き、
「義理の父親のことです」
と嘘に嘘を重ねた。
高橋はあえてそれには触れずに、
中学時代、
原田がどのようにして学校生活を過ごしたか、
そのことについて尋ねた。
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